「茶トラはとにかく人懐っこい」という言説は、単なる飼い主の親バカフィルターや都市伝説ではありません。近年の動物行動学および獣医学の調査において、猫の毛色と性格 科学的根拠 詳細まとめの観点からも、一定の生物学的裏付けが解明されつつあります。
米カリフォルニア大学デイビス校(UC Davis)の獣医行動学者マイケル・デルガド氏らが行った1,200人以上の飼い主を対象とする大規模調査でも、オレンジ色の毛を持つ猫は他色(特に三毛や黒猫)と比較して、飼い主から「極めて友好的で甘えん坊」と評価される割合が有意に高いことが報告されています。この気質を生み出す決定的な因子こそが、赤色色素(フェオメラニン)を発現させる「O遺伝子(Orange gene)」と性染色体の関係です。
猫の性別を決める性染色体は、メスが「XX」、オスが「XY」の組み合わせで構成されます。茶色を発現させるO遺伝子はX染色体の上にしか存在しません。オス(XY)の場合、母親からO遺伝子を持つX染色体を1つ受け継ぐだけで「茶トラ(茶一色または茶白)」になります。対してメス(XX)の場合、両親の双方からO遺伝子を引き継ぎ、「OO」というホモ接合体にならない限り茶トラにはなりません(XOの場合は三毛やサビ猫になります)。
この遺伝法則の結果、統計的に茶トラ猫全体の約75〜80%がオスとして誕生します。哺乳類のオスは本来、縄張りを守る警戒心を持ちつつも、母猫への甘えや無邪気な好奇心を成猫期になっても色濃く残す傾向があります。つまり、「茶トラ猫=人懐っこい」という評判の正体は、オスの気質的特徴が茶トラという品種群全体のイメージを強く牽引していることに起因しています。