合成麻薬の氾濫を支えているのは、中国が誇る巨大な製薬・化学産業のスケールそのものである。何万もの小規模な化学工場や仲介業者が乱立する市場において、個々の企業がどの前駆体をどの海外バイヤーに販売しているかを完全に追跡・把握することは、中央政府の監視能力をもってしても容易ではない。
さらに事態を複雑にしているのが、中国の地下銀行ネットワークを介したマネーロンダリングの存在だ。カルテルがアメリカ国内で得た膨大な米ドル現金は、中国系犯罪グループの手によって洗浄され、北米の中国系富裕層への資金移動や中国国内の不動産・貿易投資へと還流する。正当な商取引の帳簿に紛れ込んだ汚れた資金は、法執行機関による資産凍結の試みを幾重にも阻んでいる。