テレビ番組の放送中、本来流れるはずの一般企業のコマーシャルが突如として公共広告に切り替わる現象には、業界構造に根ざした3つの決定的な理由が存在します。視聴者が「なぜ流れるのか」と疑問を抱く背景を紐解くと、民放キー局が抱える広告ビジネスの仕組みが見えてきます。
第一の理由は、スポンサー企業による広告素材の提供自粛です。番組出演者のスキャンダル、事件・事故の速報、あるいは局側のコンプライアンス違反などが発覚した際、企業はブランドイメージの毀損を避けるため、一時的にCM放送の取りやめを放送局へ申し出ます。この際、空いたCM枠を埋める標準的な代替素材として指定されているのがACジャパンの広告です。
第二の理由は、東日本大震災時などに代表される大規模有事や社会的配慮による全面自粛です。社会全体が悲嘆や緊張に包まれている局面において、通常の商業CMを流すことが視聴者心理を逆撫でする恐れがある場合、広告主各社が一斉にACジャパンへの差し替えを要請します。
第三の理由は、広告枠の売れ残り(未販売枠の穴埋め)です。特に深夜枠や早朝などの時間帯において、セールスが成立しなかった放送枠(いわゆるパーマネント枠・局の持ち枠)を埋めるために公共広告が割り当てられます。これら3つの要因が複合的に重なった際、視聴者のタイムラインには「CMだらけ」という印象が強烈に刻まれることになります。