若者文化の深層を鋭くえぐる分析力は、どのようなキャリアから培われたのか。原田曜平氏の経歴を振り返ると、徹底した現場主義と卓越した言語化能力が際立っています。
学歴は慶應義塾大学商学部を卒業。大学時代から流通や消費者行動論に関心を寄せていた原田氏は、1999年に株式会社博報堂へ入社しました。マーケティング環境研究所、研究開発局などを経て、2003年頃から若者研究を専門とするチームを立ち上げ、のちの「博報堂若者研究所」の礎を築きます。
原田氏の名を社会に決定づけたのが、時代ごとの若者心理を象徴するネーミングセンスでした。2010年代初頭、車離れや海外旅行離れが叫ばれる中で結果への過度な期待を持たない若者を言い表した「さとり世代」、地元志向が強く独自の消費コミュニティを形成する層を活写した「マイルドヤンキー」は新語・流行語大賞にノミネートされるなど、社会現象にまで発展しました。
さらに近年では、デジタルネイティブである「Z世代」の消費行動や価値観の解析において、右に出る者がいないほどの存在感を誇っています。「伊達マスク」「ズッ友」など、若者言葉をいち早くマーケティング用語として昇華させる手法は、単なるアンケート集計にとどまらず、彼らの自宅に上がり込み、クローゼットやスマートフォンの画面を直接見せてもらう泥臭い定性調査から生み出されたものです。