私たちが「スズメ」と一括りにしている鳥は、鳥類学上「スズメ目スズメ科スズメ属」に分類されます。日本本土に定着して繁殖しているのは、主に「スズメ(Passer montanus)」と「ニュウナイスズメ(Passer cinnamomeus)」の2種類です。
この2種を識別する上で最も確実なチェックポイントが、「ほっぺの黒い斑点(頬斑)」です。市街地や住宅街で見かける普通のスズメは、白い頬の中央にくっきりと黒い斑点が存在します。一方のニュウナイスズメには、この頬の黒斑が一切ありません。
ニュウナイスズメの特徴として、オスの背中や頭部が鮮やかな栗赤色(チェスナットブラウン)に染まる点が挙げられます。古語で赤茶色を意味する「にふ(丹)」が名前の由来とされており、木々の間を飛び交う姿は通常のスズメよりも赤みが際立ちます。また、メスは全体的に淡い黄褐色で、目の上に明瞭な黄白色の眉斑(アイブロウライン)が入るため、一見すると別の鳥に見えるほど性差が明瞭です。
生息環境にも大きな隔たりがあります。普通のスズメが「人間の生活圏(人家やビル街)」に完全依存しているのに対し、ニュウナイスズメは主に北海道や本州中北部の山林・農耕地で夏に繁殖し、秋から冬にかけて平野部や暖地へ移動する漂鳥・冬鳥としての性質を持ちます。
なお、海外の街中で極めて普通に見られる「イエスズメ(Passer domesticus)」は、ヨーロッパや中央アジア、アメリカ大陸などに広く定着しているものの、日本国内では北海道の利尻島や一部の離島で稀に確認される程度の「極めて珍しい迷鳥」という位置づけです。