近年のクリーンディーゼル技術において、現場ドライバーを最も悩ませているのが排ガス後処理装置(DPD / DPFシステムおよび尿素SCRシステム)に起因する警告表示です。いすゞエルフ警告灯やいすゞフォワード警告灯、いすゞギガ警告灯の問い合わせにおいて、その大半を占めるのがこの2系統です。
まず、DPF(いすゞでは主にDPDと呼称)システムは、排気ガス中の微粒子物質(PM)をフィルターで捕集し、走行中の自動燃焼によってクリーンに保つ仕組みです。しかし、ストップ&ゴーが続く市街地配送や、長時間のアイドリング待機が重なると排気温度が上がらず、煤(すす)がフィルターに限界まで溜まります。この際、メーター内のDPFインジケーターが黄色く点滅します。
点滅が始まった段階であれば、車両を可燃物のない安全な場所へ停車させ、パーキングブレーキを引き、ニュートラル状態にした上でDPF警告灯手動再生スイッチを押下することで解決可能です。排気管周辺が600度近い高温に達するため、枯草や段ボールのない場所で行うことが鉄則であり、通常15分から30分程度で燃焼プロセスが完了し消灯します。問題はこれを無視して走り続けた場合です。点滅速度が高速化し、やがてエンジンチェックランプ点灯と連動して点灯状態へ移行すると、もはや手動再生スイッチは無効化され、ディーラーでの強制燃焼(インジェクター洗浄やフィルターASSY交換、数十万円コース)を余儀なくされます。
次に、排出ガス中のNOx(窒素酸化物)を無害化する尿素SCRシステムです。AdBlue警告灯補充のアラートは段階的に発令されますが、最終警告を無視して尿素水タンクが完全に空になると、道路運送車両法の排出ガス基準を満たさなくなるため、法律上の規制によってエンジンの再始動が物理的に不可能になります。高速道路のサービスエリアで「エンジンを一度止めたら二度とかからなくなった」というトラブルの典型例がこれです。AdBlue警告灯が灯ったら、目的地への到着を待たずに最寄りのトラックステーションやスタンドで速やかに補充しなければなりません。
さらに、雪道や急勾配で重宝される排気ブレーキ警告灯の点滅は、バルブの固着やアクチュエーター系統の負圧漏れを意味します。フットブレーキへの負荷が急増しフェード現象を招く恐れがあるため、積載状態での下り坂走行には細心の注意が必要です。