電話番号の冒頭にある「+1」は、国際電気通信連合(ITU)の取り決めに基づく国番号(カントリーコード)であり、アメリカ合衆国、カナダ、およびカリブ海の一部の島国を含む「北米番号計画(NANP)」の対象地域を示しています。その直後に続く「833」という3桁のエリアコードは、特定の地理的都市(ニューヨークやロサンゼルスなど)を指す市外局番ではありません。米国連邦通信委員会(FCC)が管理するトールフリー番号(Toll-Free Number)、すなわち日本における「0120」や「0800」に相当するフリーダイヤル専用コードです。
かつて北米のトールフリーといえば「800」が主流でしたが、電話番号の枯渇に伴い「888」「877」「866」「855」「844」と順次拡張され、「833」は2017年から運用が開始された比較的新しいトールフリーコードにあたります。+1 833 国際電話の真相を追跡すると、本来は米国内の企業が顧客対応用として正規に取得する番号体系が、国境を越えたサイバー犯罪者たちの隠れ蓑として悪用されている構図が浮かび上がってきます。
詐欺グループがこの番号帯を好む理由は明快です。安価に契約できるクラウドPBX(VoIP電話サービス)を介して番号を大量取得できるうえ、発信者番号通知を偽装する「コーラーIDスプーフィング」の技術を併用することで、あたかも米国の公的機関やグローバル大企業から連絡が入ったかのように受信者を欺けるからです。日本国内に届く不審コールの多くは、米国内から直接発信されているとは限らず、東南アジアや東欧、アフリカなどを拠点とする国際特殊詐欺グループが回線を中継して発信しているのが実態です。