『傷物語』冒頭、彼女はなぜ3人のヴァンパイアハンター(ドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッター)に四肢と心臓を奪われ、地下鉄のホームで無残な姿を晒していたのか。この謎は作品全体の根幹を成すテーマです。
結論から言えば、キスショットは本気で戦っていませんでした。初代眷属を失い、数百年の孤独に耐えかねた彼女は、心の底で「死に場所」を求めて日本を訪れていたのです。圧倒的な力を持つ彼女を殺せる相手など存在しないため、ハンターたちの攻撃をあえて受け入れ、自滅的な結末を望んでいました。
しかし、いざ命の灯火が消えかけた瞬間、彼女の深層心理に生への執着と恐怖が鎌首をもたげます。そこへ現れたのが、春休みの高校生・阿良々木暦でした。「血をくれ、死にたくない」と懇願し、自分の命を投げ打って首筋を差し出した暦の血を吸うことで、彼女は生き延び、暦を第2の眷属に仕立て上げることになります。