インターネット上の議論で頻繁に混同されるのが、悪堕ちと闇堕ちの違いです。どちらも「正義側から敵側への転向」を描く点では類似していますが、物語構造におけるキャラクターの主体的意志と変容の動機において、決定的な一線を画しています。
端的に言えば、「悪堕ち」は所属陣営や行動様式が悪へとシフトすることを指します。そこには物理的・精神的な洗脳、寄生、あるいは契約による敵対化など、外的な強制力がトリガーとなるケースが多大に含まれます。一方の「闇堕ち」は、外部からの強制ではなく、キャラクター自身の内面で信じていた正義や理想が崩壊し、絶望や怒りによって自ら悪の道を選択する内発的変容を指すのが通例です。
もちろん、作品によっては「絶望(闇堕ち)した隙を突かれて洗脳デバイスを埋め込まれる(悪堕ち)」といったハイブリッド型も存在します。しかし基本構造として、外的な力で歪められた悲劇性を愛でるのが悪堕ち、思想の敗北と狂気に息を呑むのが闇堕ちという区別を把握しておくことで、描写の意図を格段に深く読み解くことが可能になります。