多摩センターを歩いていると、スマートフォンを片手に特定のビルやモニュメントを熱心に撮影する若者たちに必ず遭遇する。彼らの目的は、アニメ『とある科学の超電磁砲』に登場する「学園都市」の舞台探訪だ。整然とした近未来的な街路樹、特徴的なキャノピー、幾重にも重なる高架橋が、作中の景観モデルとして克明に描かれている。
この聖地巡礼・アニメツーリズムの熱気は、いまや海を越えて広がりを見せている。火付け役となったのは、NetflixやAmazon Prime Videoといった世界規模のストリーミングプラットフォームによる全話一挙配信だ。海外のサブカルチャーファンが「アニメで見たあの未来都市」を求めて羽田や成田から直行するケースが急増している。
地元の商店街や観光案内所もこの動きに即座に呼応した。公式の散策マップ配布やコラボレーション企画が定着し、サブカルチャーを異物として排除するのではなく、街のアイデンティティとして抱きとめる度量の広さを見せる。フィクションと現実が交錯する都市体験が、新たな経済波及効果を生み出している。