超高層ビルの喧騒から離れ、静けさとディープな歴史に没入したい旅行者に圧倒的な支持を得ているのが、旧フランス租界エリアに潜むブティックホテル群だ。なかでも、伝統的な集合住宅建築「石庫門(シクーメン)」をまるごと一街区リノベーションした敷地型ホテルは、今や世界中のトラベラー憧れの的となっている。
赤レンガの壁、狭い路地(弄堂)、そして青々としたプラタナスの街路樹。門をくぐると、一転してモダンアジアンと欧州の上質さが調和した極上のプライベート空間が広がる。これらのブティックホテルは客室数をあえて少なく抑え、バトラーサービスやプライベート中庭を配置。大都市の真ん中にいることを忘れさせる静寂を提供してくれる。
朝になれば、近所のローカルが散歩する声や小籠包を蒸す湯気が立ち上り、夜には洗練された隠れ家バーでクラフトカクテルを傾ける。観光名所を巡るだけでは決して味わえない「上海の生活の贅沢な断片」を切り取ることができるのが、このエリアの最大の醍醐味だ。