果たしてその味わいはどのようなものなのか。長年にわたり野生の味覚を研究し、NPO法人昆虫食普及ネットワークを牽引する昆虫料理研究家の内山昭一氏は、セミの食味について「甲殻類を思わせる濃密な旨味と、ヘーゼルナッツのような芳醇なアロマが絶妙に融合している」と絶賛する。特に羽化直前の幼虫や、羽化したての柔らかい個体は食感が際立つ。
さらに、レストラン「Antcicada」の創業者として革新的な一皿を提案し続ける篠原祐太氏も、セミが秘める素材としての高いポテンシャルを指摘する。高温の油で短時間で揚げたリュウキュウアブラゼミを噛みしめると、サクッとした軽快な歯ごたえの直後、内部から上質なアーモンドオイルや濃厚なエビ味噌を想起させるクリーミーなコクが溢れ出す。2026年の最先端のガストロノミーシーンにおいても、その独自の風味は感度度の高いシェフたちを魅了している。