税務統計や住宅地公示地価を分析すると、都心部の居住エリアにおける分断の深さが瞬時に浮き彫りとなる。長年トップに君臨する港区の平均納税者所得は他の追随を許さず、1000万円超の領域で単独首位を独走してきた。しかし、その背後では二番手グループの勢力図に大きな異変が起きている。
千代田区や中央区が超高層マンションの供給に伴い高所得世帯を集める一方で、武蔵野の面影を残す世田谷や杉並といった旧来の高級住宅地では、世代交代に伴う相続税負担や物件の老朽化が進行。平均年収の成長率で都心臨海部の後塵を拝する事態が珍しくなくなった。不動産業の関係者は「かつてのように『都心西部=富裕層の住処』という単純な図式はもはや通用しない。利便性と資産の流動性を最優先する現役世代の富裕層は、古い閑静な住宅街よりも、圧倒的な資産価値の上昇が見込める再開発エリアへ軸足を急速に移している」と指摘する。