狂気の天才美少女執刀医、斑木ふらんが繰り広げる怪作。本作が提示するのは、単なるグロテスクな描写ではない。「患者を生かすこと」を絶対の使命とする彼女の哲学が、いかに人間の尊厳や愛と衝突するかという深い問いだ。医療ホラーであり、同時に異色のダークファンタジーでもある本作において、「芋虫」を題材にした回は特に際立った存在感を放っている。
モチーフとなったのは江戸川乱歩の同名小説。戦場により四肢と聴覚、言語機能を失った夫と、その夫を介護しつつ歪んだ愛欲を寄せる妻の物語だ。木々津克久はこの古典的名作の構造を現代の生命科学と奇抜な発想で再構築してみせた。そこに提示されたのは、読者の想像を絶する「生への執着」の結末だった。