本来であればターンオーバーが活発であるはずの20代30代の爪の縦線が目立つ場合、真っ先に疑うべきは身体内部の「飢餓状態」です。都内の皮膚科外来でも、20代女性を中心に「爪が縦に割れる」「表面が波打っている」と訴える患者の血液検査を行うと、顕著な栄養素の枯渇が確認されるケースが後を絶ちません。
爪の主成分は硬いケラチンというタンパク質です。生命維持において爪や毛髪は優先順位が最も低いため、摂取した栄養素は心臓や脳などの重要臓器へ優先的に配分され、末端の爪母基には最後にしか届きません。その結果、引き起こされるのが爪の縦線と栄養不足の密接な連動です。
とりわけ注目すべきは亜鉛と鉄分不足です。厚生労働省の国民健康・栄養調査でも示されている通り、現代の若年層は慢性的なミネラル不足に陥っています。亜鉛はケラチンの合成を司る酵素の働きに不可欠であり、これが不足すると爪母基の細胞分裂が不均一になり、明瞭な縦筋や脆弱化を招きます。また、鉄分が不足して潜在性鉄欠乏(フェリチン低下)が進行すると、爪が薄くなり、反り返るスプーン爪(匙状爪)の前段階として激しい縦筋やガタガタが生じるのです。糖質制限の偏りやファストフード中心の食生活は、確実に爪の質を蝕んでいきます。