葬儀社スタッフや喪主経験者の証言、ネット上の体験談を精査すると、良かれと思って取った参列者の行動が、現場で裏目に出ている実情が浮かび上がります。
都内大手斎場の葬祭ディレクターは、現場の混乱について次のように語ります。
「最近最も多いトラブルは、案内状に『家族葬のため一般の方の参列はご遠慮申し上げます』と明記しているにもかかわらず、『どうしても顔が見たいから』とお通夜に押しかけてしまうケースです。遺族側は返礼品も通夜振る舞いの料理も用意しておらず、かといって門前払いもできず、精神的に追い詰められてしまいます」
大手コミュニティ掲示板や知恵袋でも、「親族だけで静かに送りたいと決めていたのに、近所の方や会社関係者が大勢お通夜に来てしまい、遺族控室で母が疲労困憊して倒れてしまった」という痛切な告白が多数寄せられています。
また、参列できない場合の弔電マナーを巡る行き違いも後を絶ちません。参列が叶わない場合の弔意表明として弔電は極めて有効ですが、お通夜当日に送る場合は開式時刻の数時間前までに斎場必着で手配するのが原則です。しかし、そもそも遺族が「弔電・供花・香典の辞退」を宣言している場合は、電報を送る行為自体が相手の意思に反する負担となります。「気持ちだから」という自己満足でルールを突破することは、現代の葬祭マナーにおいて最も忌避されるべき行為です。