映画『傲慢と善良』結末の真相と失踪理由|原作との決定的な違いを検証

映画『傲慢と善良』結末の真相と失踪理由|原作との決定的な違いを検証

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物語の発火点となるのは、結婚を間近に控えた坂庭真実(奈緒)の突然の失踪です。部屋に残された荒らされた痕跡、過去に真実が怯えていたストーカーの存在から、婚約者の西澤架(藤ヶ谷太輔)は事件に巻き込まれたと確信し、警察や知人を巻き込んで必死の捜索を開始します。しかし、事件を追う架が直面したのは、犯罪被害の痕跡ではなく、真実自身が仕組んだ自作自演の逃亡という残酷な真実でした。

真実が姿を消した決定的な動機は、架の携帯画面を偶然覗き見してしまった瞬間にあります。そこには、架が友人たちとのグループチャットで真実を「70点」「無難」「ピンとこないけれど条件はいい」と品定めし、かつての華やかな元カノへの未練を燻らせている会話が並んでいました。真実にとって架は、消極的なお見合いを繰り返した末にようやく現れた「自分を選んでくれた特別な白馬の騎士」でした。しかしその実態は、30代を迎えて結婚という世間体を繕うために、妥協枠として選ばれたに過ぎなかったのです。

架の友人たちから向けられた品定めするような冷たい視線、そして「ストーカーに遭っている」と怯える自分をどこか面倒くさそうにいなし、真剣に取り合わなかった架の態度。プライドを粉々に砕かれた真実は、ストーカー被害を自ら偽装し、架がどれだけ自分を本気で心配し、必死に探してくれるかを試すという極端な行動に打って出ました。しかし、一度嘘を重ねてしまった自分自身のおぞましさにも耐えきれず、彼女は携帯を捨て、東京から遠く離れた被災地・宮城県女川町へと姿を眩ませることになります。

この失踪劇の真相は、誰かひとりの悪意によって引き起こされたものではありません。相手を値踏みしながら自分は傷つかない安全圏にいようとする架の「傲慢」と、親の言う通りに生きて自分の意思を持たず、傷つくことを恐れて被害者を演じた真実の「善良」。2つの歪んだ無意識が衝突した結果生じた、必然の破局だったのです。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。