ネット上の簡易的なまとめ記事やライト層のコメントにおいて、「相良はタイマンが弱く、智司の威を借る狐に過ぎない」「実質的な噛ませ犬」と揶揄されるケースが散見されます。しかし、作中のファクトを厳密に検証すると、この評価は明白な誤解であることが分かります。
まず戦闘力について、相良猛は決して弱い男ではありません。純粋な喧嘩の実力だけで見ても、並み居る他校の番長クラスを単独で圧倒する技量を備えています。ドラマ版第9話における軟葉高校への襲撃シーンや、劇場版で北根壊の精鋭たちを瞬く間に沈めていく身のこなしを見れば、そのスピードと打撃の的確さは作中でも上位に位置します。
相良が「卑劣」とされるのは、喧嘩の腕前がないからではなく、「確実に相手を再起不能にするための最短距離」を選択しているからです。相手が強敵であればあるほど、角材や鉄パイプなどの武器を躊躇なく使い、目潰しや急所攻撃、人質作戦を仕掛ける。主人公の三橋貴志自身が「勝てばよかろうなのだ」という卑怯の美学を持つトリックスターであるのに対し、相良はそのアンチテーゼとして「笑えない本物の狂気」を行使する存在でした。三橋をして「一番厄介で一番戦いたくない相手」と言わしめた執念の深さこそが、相良猛の真の強さなのです。