公式の成り立ちを理解したところで、そもそも「ひし形」とはどのような図形なのか、その定義と性質を整理しておきましょう。ここを曖昧にしたまま進むと、応用問題や中学校以降の幾何学で必ず混乱が生じます。
算数・数学におけるひし形の定義は「4つの辺の長さがすべて等しい四角形」です。これに対して、よく混同される平行四辺形の定義は「2組の向かい合う辺がそれぞれ平行な四角形」です。ひし形は4つの辺がすべて等しいため、必然的に向かい合う辺同士も平行になります。すなわち、「ひし形は平行四辺形の特別な仲間」という包含関係が成り立ちます。
ひし形独自の特徴を際立たせているのが、対角線に関する2つの重要な性質です。
- 2本の対角線が互いの中点で直交する(垂直に交わる)
- 2本の対角線がそれぞれの頂角を2等分する
一般的な平行四辺形では、対角線は互いの中点で交わるものの、垂直には交わりません。ひし形は対角線が「垂直に交わる」からこそ、先述の外接長方形を作った際に合同な直角三角形が綺麗に現れ、「対角線×対角線÷2」という専用の公式が成立するのです。
また、この「対角線が直交する」という性質さえ満たしていれば、必ずしも4辺の長さが等しくなくても公式が使える点も見逃せません。代表例が「たこ形(隣り合う2組の辺の長さがそれぞれ等しい四角形)」です。たこ形も2本の対角線が垂直に交わるため、ひし形とまったく同じ「対角線×対角線÷2」で面積を求めることが可能です。