楽曲誕生の直接的な契機となったのは、池井戸潤原作、大泉洋主演によるTBS系日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(2019年7月期放送)の主題歌オファーでした。大手自動車メーカーの左遷社員が、弱小ラグビーチーム「アストロズ」のゼネラルマネージャーとして再起を図る重厚な企業再生ドラマです。
ドラマ制作陣および関係者の証言によると、主題歌の起用は第1話の放送当日まで完全に伏せられており、劇中のクライマックスで突如として米津玄師の歌声が響き渡った瞬間、SNS上では驚愕と歓喜の声が爆発しました。米津玄師自身、オファーを受けてからラグビーというスポーツの本質、すなわち「One for all, All for one(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」の精神と肉体の激突に真正面から向き合いました。
直後に開幕したラグビーワールドカップ2019日本大会において、日本代表が歴史的なベスト8進出を果たすと、スタジアムやパブリックビューイング会場には自然発生的に「馬と鹿」が鳴り響きました。ドラマの枠組みを軽々と飛び越え、国家的な熱狂と選手の流した血汗を称えるアンセムとなった経緯は、タイアップ楽曲が社会的記憶へと昇華した稀有な成功例として音楽史に刻まれています。