Q1:水素(H)は非金属なのに、なぜ金属のイオン化傾向一覧に含まれているのですか?
A1:塩酸や希硫酸といった「酸」と金属が反応した際、水素イオン(H⁺)が電子を受け取って水素ガス(H₂)として発生するかどうかの境界線を明確にするためです。水素より左にある金属は酸中のH⁺から電子を奪って溶けますが、水素より右にある金属(Cu, Agなど)は酸中のH⁺では酸化できないため、より酸化力の強い酸(硝酸や熱濃硫酸)を用いなければ溶かすことができません。
Q2:濃硝酸や熱濃硫酸には溶けるのに、希硝酸や希硫酸に溶けない金属があるのはなぜですか?
A2:質問の前提が逆になっているケースが多く見られます。希硫酸に溶けて濃硝酸に溶けない金属(Al, Fe, Ni)は、濃硝酸の強烈な酸化作用によって表面に緻密な酸化被膜(不動態)が生じるためです。一方、銅(Cu)や銀(Ag)のように希硫酸には溶けず濃硝酸や熱濃硫酸に溶ける金属は、水素イオン(H⁺)ではなく、硝酸イオン(NO₃⁻)や硫酸分子(H₂SO₄)自体が持つ強力な酸化力によって酸化・溶解させられています。
Q3:王水でも溶けない金属は存在しますか?また、王水が白金や金を溶かせる理由は?
A3:白金族元素の一部であるタンタル(Ta)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)などは極めて耐食性が高く、常温の王水にもほとんど溶けません。王水が金や白金を溶解できる理由は、濃硝酸の強力な酸化力で生じた金属イオンを、濃塩酸から供給される大量の塩化物イオン(Cl⁻)が速やかに安定な錯イオン([AuCl₄]⁻や[PtCl₆]²⁻)へと変えることで、金属イオンの濃度を下げて酸化反応を右方向へ劇的に押し進めるためです。