日本国内においてアイリッシュウルフハウンドと暮らすハードルは、金銭的・空間的に非常に高いと言わざるを得ません。現場のブリーディング実態とリアルな維持費を検証します。
まず入手経路ですが、日本国内で活動している専業ブリーダーは指で数えるほどしか存在しません。JKCの年間犬籍登録頭数は例年数十頭前後に過ぎず、タイミングによっては子犬を迎えるまでに1〜2年以上の待機期間が発生します。子犬の生体販売価格の相場は50万〜80万円前後ですが、海外のトップケネルから直輸入する場合は輸送費や検疫費用を含めて150万〜200万円規模の予算が必要となります。
さらに深刻なのが、迎えた後のランニングコストです。成犬になると1日に800g〜1.2kg前後の高品質プレミアムドライフードを消費するため、月々の餌代だけで3万〜5万円に達します。また、日本の高温多湿な夏期は超大型犬にとって命取りとなるため、初夏から秋口にかけてはエアコン24時間フル稼働が絶対条件であり、光熱費の高騰は避けられません。
散歩と住空間の制約も過酷です。運動量としては、1日2回・各1時間以上の引き運動がベースとなりますが、単にアスファルトを歩かせるだけでは不十分です。骨格と筋肉を健全に維持するため、安全に囲われたドッグラン等でリードを外し、自分のペースで四肢を伸ばして走れる環境が定期的に求められます。
加えて、動物病院への通院や移動のために「大型ケージをフラットに積載できるミニバンやステーションワゴン」の保有が必須となります。一般的な軽自動車やセダンでは成犬1頭を安全に輸送することすら物理的に不可能です。医療保険、消耗品、予防薬(フィラリア・ノミダニ駆除薬は体重換算のため小型犬の数倍)を合算すると、生涯(約7年間)でかかる総飼育費用は600万〜800万円を容易に突破します。