本作のキャラクターたちが放つ圧倒的なリアリティは、実力派の豪華キャスト陣による繊細な演技によって支えられている。千尋役を演じた柊瑠美は、等身大の少女の不安と成長を見事に声で表現した。当時13歳という若さならではの瑞々しい表現力は、千尋というキャラクターに偽りのない命を吹き込んだ。
ハク役の入野自由は、品格と切なさを兼ね備えたトーンで、神霊としての神聖さと千尋への深い慈しみを見事に演じ分けている。そして湯婆婆と銭婆の一人二役を完璧に演じ分けた夏木マリの怪演は、作品全体に強烈なインパクトをもたらした。圧倒的な圧迫感と、母親としての甘さを同居させた声の演技は、アニメーション史に残る名演として讃えられている。また、カオナシの声を担当した中村彰男の絞り出すような吐息や唸り声も、言葉を持たないキャラクターの孤独を極限まで引き立てている。