里芋の栽培において、収穫適期を正確に判断することは収量と食感を決定づける最大の分岐点です。一般的な栽培暦では10月中旬から11月下旬が収穫シーズンとされていますが、日付だけで機械的に判断するのは極めて危険です。里芋の成熟度は、品種(早生・中生・晩生)や定植日、そしてその年の積算温度と日照条件に大きく左右されます。
植物生理学的な観点から見た最も確実な目安は、地上部の葉の状態変化です。夏場に青々と生い茂っていた大きな傘のような葉のうち、外側の下葉が黄色く変色して枯れ落ち始めたタイミングこそが、地下でデンプンの蓄積がピークに達したサインとなります。完全にすべての葉が枯れ果てるのを待つ必要はありません。むしろ葉が完全に枯死するまで畑に放置すると、過熟による腐敗や害虫被害のリスクが跳ね上がります。
また、本格的な収穫作業に入る前には必ず「試し掘り」を実施するのがプロ農家の基本作法です。畝の端にある標準的な生育の1株を選び、慎重に掘り上げて子芋や孫芋の着生具合を確認します。子芋の直径が5cm以上にしっかりと肥大し、表面の毛羽立ちが密になっていれば、その畝全体が収穫適期に達したと判断できます。