ヘアカラーにおける明るさの基準は、一般的に「トーン(レベル)」と呼ばれる数値で表されます。地毛の黒髪は4〜5トーン、一般的な暗髪カラーは6〜7トーンに位置しますが、ブリーチなし明るめ限界トーンは、アルカリカラー剤の脱色力において最大で「12〜13トーン」が物理的な上限値となります。
なぜブリーチを使わずに14トーン以上のハイトーンへ到達できないのか。その理由は、日本人の毛髪に多く含まれる「ユウメラニン(黒〜褐色系メラニン)」の分解特性にあります。通常のファッションカラー剤は、髪の内部を脱色する過酸化水素とアルカリ剤の力、そして染料を浸透させる発色作用が同時に働きます。しかし、通常のカラー剤に配合できるアルカリ濃度には安全基準上の上限があるため、黒髪のメラニン色素を完全に抜き去ることはできません。
特にバージン毛(一度も染めていない黒髪)から1回の施術で12トーンブリーチなしの明るさを目指す場合、赤みやオレンジみが強く残りやすく、クリアなベージュやホワイト系に寄せることは構造上不可能です。透明感のあるハイトーン風カラーを実現するためには、髪に残留しているメラニン色素の種類を見極め、適切なアンダートーン補正を行うプロセスが欠かせません。