山手線の駅名を順に追っていくと、新宿、渋谷、品川といった比較的ストレートな読みの駅が並ぶなかで、「御徒町」は「日暮里(にっぽり)」や「雑司が谷(ぞうしがや)」と並び、初見殺しの難関として知られる。「おーとちょう」あるいは「ご徒まち」と読み間違える旅行者も少なくない。特に昨今のインバウンド需要の爆発的増加に伴い、ローマ字表記「Okachimachi」と漢字表記の照合に戸惑う外国人の姿は日常茶飯事となった。
しかし、この「読めなさ」こそが、街のアイデンティティとしての強みにも転じている。SNS上では「東京の難読駅名チェック」といったコンテンツが定期的にバズを生み、若い世代の間で地名の由来を巡るミクロな歴史探訪がちょっとしたブームとなっているのだ。読みにくいからこそ、一度記憶に刻まれれば忘れないというブランディングの側面を見逃すことはできない。