ネット上のQ&Aサイトや音楽談義において頻繁に見受けられるのが、「探偵物語の主題歌はどちらが本物なのか」という素朴な疑問です。結論から述べると、1979年の日本テレビ系テレビドラマ版と、1983年の角川映画版という、全く別の制作ラインで作られた2つの金字塔が存在します。
テレビドラマ版『探偵物語』は、小鷹信光の原案・アイデアをもとに松田優作の強いリーダーシップで企画されたオリジナル作品です。東京の下町を舞台に、私立探偵・工藤俊作が巻き起こすハードボイルドかつコミカルな人間模様を描き、そのオープニングとエンディングを新進気鋭のロックバンドSHOGUNが担当しました。
対する映画版『探偵物語』は、人気作家・赤川次郎の同名小説を原作とし、当時社会現象を巻き起こしていた角川映画の超大作として製作されました。薬師丸ひろ子演じる女子大生・新井直美と、松田優作演じるしがない中年探偵・辻山秀一の心の交流を描いたラブサスペンスであり、その主題歌「探偵物語」を主演の薬師丸ひろ子自身が歌い上げました。
両作に共通する要素は、実質的に「松田優作が出演している」という点のみです。松田優作がドラマ版では飄々とした無頼漢・工藤俊作を演じ、映画版では人生に疲弊しながらも少女を守る中年探偵・辻山秀一という全く別のキャラクターを演じ分けたことが、後進の世代において「探偵物語=主題歌が2つある」というユニークな混同を生む背景となりました。