個別の楽曲だけでなく、アーティスト単位で平成のカラオケシーンを振り返ると、また別のダイナミクスが浮かび上がってきます。
平成カラオケ男性アーティストランキング|Mr.Childrenの絶対的牙城
通信カラオケ各社の集計データにおいて、男性アーティスト部門で他を圧倒したのがMr.Childrenです。『Tomorrow never knows』『innocent world』『名もなき詩』といった90年代の特大ミリオンヒットから、『Sign』『HANABI』といった2000年代の名曲群に至るまで、歌われる楽曲の「弾数」が桁違いに多いのが特徴です。2位以下には、B'z、GLAY、L'Arc〜en〜Ciel、EXILE、サザンオールスターズといった錚々たる顔ぶれが並びますが、ミスチルは「20代が歌っても、50代の上司が聴いて感動できる」という世代間ブリッジの役割を最も強力に果たしていました。
平成カラオケ定番曲女性ボーカル|歌姫たちの時代と日常への回帰
女性部門では、平成のカリスマとして社会現象を巻き起こした浜崎あゆみが圧倒的な歌唱数を誇り、DREAMS COME TRUE、安室奈美恵、宇多田ヒカルがそれに続きました。90年代後半から2000年代初頭にかけては、渋谷を発信地とするギャルカルチャーの隆盛とともに、彼女たちの心情を代弁するハイトーンで情熱的なナンバーがカラオケルームを満たしていました。
しかし、平成中期から後期にかけては、前述の一青窈やKiroro、Superfly、さらには中島みゆきの『糸』のように、「聴く人を包み込み、誰でも口ずさめる普遍的なメロディ」へと現場のニーズがシフトしていきました。SNSやネット掲示板に寄せられた実際のユーザーの声を見ても、「昔は背伸びして難しい高音曲を入れて喉を枯らしていたが、結局最後にマイクを取り合うのは全員が自然に口ずさめる曲だった」という述懐が多く見受けられます。