ネット上で不可解な単語が急速に拡散する際、最も警戒すべきは「実在の事件や人物への風評被害」と「悪質なデマの定着」です。「すて臓」に関しても、一部のまとめブログやオカルト系アカウントによって、根拠のない噂が尾ひれをつけて語られるケースが確認されています。
特に見られる誤解が、「昭和初期や戦後混乱期に起きた未解決事件の被害者・加害者のコードネームではないか」という憶測や、「裏サイトで取引される臓器売買の隠語ではないか」というアングラ系言説です。しかし、警察白書や過去の司法解剖記録、報道各社のデータベースをいくら遡っても、そのような公的記録や事件の存在は一切確認されていません。
人間の心理には、断片的な情報と不穏な語感に直面した際、自ら恐ろしいシナリオを補完して辻褄を合わせようとする「作話傾向(Confabulation)」が存在します。「すて」という不穏な響きと「臓」という生々しい漢字が合体したことで、受け手の無意識の恐怖が勝手にダークな物語を作り出してしまったのが真相です。