専用の四角い卵焼き器を持っていない家庭でも、諦める必要はありません。近年定着したフライパンで失敗しないだし巻き玉子の作り方は、丸いフライパン(直径20cm前後の小型が理想)の形状を逆手に取った合理的な調理法です。
フライパンで調理する場合、卵液を一気に広げると両端が薄くなりすぎて巻きにくくなります。そこで、卵液を流し入れたら菜箸で手早く中央に寄せ、奥から手前に向かって三つ折りにするように畳んでいきます。多少形が歪んでも問題ありません。前述の「巻きす(またはラップ)」に熱々のまま包み、両端をキュッと絞って輪ゴムで留めておけば、冷める過程で卵のタンパク質が再結合し、まるで四角い専用鍋で焼いたかのような美しい角型に成形されます。
一方で、調理器具にこだわりたい料理愛好家の間で常に話題に上がるのが、だし巻き玉子専用の銅製卵焼き器の評判です。和食の職人がなぜ例外なく銅製の鍋を使うのかといえば、銅の熱伝導率がアルミニウムの約2倍、鉄の約5倍、ステンレスの約25倍という圧倒的な数値を誇るからです。火力を細かく調整しなくても、鍋底から縁に至るまで瞬時に均一な熱が行き渡るため、焼きムラができず、卵液を入れた瞬間にフワッと均一に立ち上がります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
ネット上の絶賛レビューに惹かれて高価な銅鍋を購入したものの、使いこなせずにキッチンの肥やしにしてしまうケースは少なくありません。購入にあたっては自身の調理スタイルと向き合う必要があります。
- 銅製卵焼き器を心からおすすめできる人:
- 週に何度もだし巻き玉子を焼き、料亭レベルの「均一な火入れ」と「とろける舌触り」を極めたい人
- 調理器具を育てるプロセス(使い始めの油ならし、使用後に洗剤を使わずサッと拭き上げて油膜を保つメンテナンス)を楽しめる人
- ガスコンロを使用している環境にある人(※IH非対応のモデルが大多数のため)
- テフロン・フッ素樹脂加工の器具で十分な人:
- 平日の忙しい朝にお弁当作りとして手早く作りたい人
- 油の使用量を極力抑え、ヘルシーに仕上げたい人
- 使用後は食器用洗剤で気兼ねなく丸洗いし、食洗機なども活用したい合理主義の人
現代の高品質なフッ素樹脂加工フライパンは進化を遂げており、前述の「黄金比率」「油引き」「巻きす成形」の基本さえ守れば、銅鍋に迫る美しいだし巻き玉子を十分に焼き上げることが可能です。