ゲンスルーという希代のヴィランを演じた二人の名優は、それぞれ声優業界で極めて確固たるキャリアを築いています。彼らの代表作と『HUNTER×HUNTER』における足跡を整理します。
吉野裕行:変幻自在の演技派が魅せた「悪の美学」
吉野裕行は、ハスキーでエッジの効いた唯一無二の声質を持ち、熱血漢から飄々とした青年、そして冷徹な狂人まで幅広い役柄を演じ分けるトップ声優の一人です。
主な代表作には、『機動戦士ガンダム00』(アレルヤ・ハプティズム / ハレルヤ)、『弱虫ペダル』(荒北靖友)、『SKET DANCE』(ボッスン / 藤崎佑助)、『僕のヒーローアカデミア』(プレゼント・マイク)、『SPY×FAMILY』(フランキー・フランクリン)などが挙げられます。二面性を持つキャラクターや、荒々しいアウトローを演じさせたら右に出る者はいません。『ガンダム00』におけるアレルヤとハレルヤの二重人格の演じ分けで見せた狂気の片鱗が、のちのゲンスルー役で極限まで昇華されたことはアニメファンの間でも有名です。なお、『HUNTER×HUNTER』シリーズにおいて吉野裕行が担当したのはこのゲンスルー役のみであり、その一点集中が伝説的な怪演を生み出す原動力となりました。
小山剛志:唯一無二の低音が生み出す威圧と包容力
小山剛志は、舞台俳優や歌手、演出家としても精力的に活動するマルチな才能の持ち主であり、その最大の武器は一度聴いたら忘れられない重厚無比な低音ボイスです。
代表作としては、『うたわれるもの』シリーズのクロウ役、『キルラキル』の蟇郡苛役、『ゼロから始める魔法の書』の傭兵役、そして大人気ゲーム『龍が如く』シリーズの冴島大河役などが知られています。体格の大きな豪傑や義理堅い武人を演じることが多い小山剛志ですが、旧作OVA版のゲンスルーではその圧倒的な低音を「容赦なき殺戮者の冷酷さ」へと転換させ、視聴者の心に消えないトラウマを植え付けました。小山にとっても、悪のカリスマ性を存分に発揮した極めて重要なマイルストーンとなっています。