フィルムが剥がれなくなった際、多くのユーザーが無意識にやってしまうのが「爪で端をカリカリと引っかく」「カッターの刃や安全ピンをガラスの隙間にねじ込む」という動作です。しかし、都内の大手スマートフォン修理店スタッフは「フィルムを剥がそうとしてディスプレイそのものを破壊し、高額な画面交換を余儀なくされる相談が毎週のように持ち込まれる」と警鐘を鳴らします。
なぜ先端の鋭利な金属や爪が危険なのか。理由はスマートフォンの構造と力学にあります。近年のスマートフォンは、ディスプレイ表面に指滑りを滑らかにする撥油・撥水コーティングがナノレベルで施されています。カッターの刃先はミクロの視点で見れば極めて高い点圧力を生み出すため、硬度を誇る強化ガラスであっても、表面のコーティングを一瞬で削り取り、微細な線傷(マイクロクラック)を刻んでしまいます。この微細な傷が起点となり、次回落下時に本体ガラスそのものが粉砕するリスクを飛躍的に高めてしまうのです。
さらに深刻なのが人身事故です。特に爪やカッターが危険な理由として、力を込めた瞬間にフィルムが跳ねてガラスの微細な破片が爪の隙間に深く刺さり、自力で摘出できなくなるケースが頻発しています。修理の現場において、スマホ画面を傷つけない方法の鉄則は「金属製の刃物を一切使わず、本体ガラスよりも柔らかい樹脂製の道具と粘着力を活用すること」に尽きます。