吉野家とはなまるうどんの協業において、日本の外食史に名を残した企画が「はしご定期券」キャンペーンです。
2017年秋に初登場したこの企画は、1枚300円の紙製カード(定期券)を購入すると、期間中は吉野家で「丼・定食・皿が1杯ごとに80円引き」、はなまるうどんで「うどん1杯注文につき天ぷら1品無料」という破格の特典が受けられるものでした。翌2018年にはすかいらーくグループの「ガスト」まで参画し、チェーンの垣根を越えた異例の3社合同キャンペーンへと発展しました。
なぜこれほど過激な割引が成立したのか。その背景には、緻密に計算された行動経済学的アプローチが存在します。
- 来店頻度の劇的な底上げ:「元を取るために何度も通う」心理(サンクコスト効果)が働き、顧客の囲い込みに成功。
- グループ内での回遊促進:昼ははなまるうどん、夜は吉野家といった相互利用のルーティンが自然に定着。
- 客単価の維持:天ぷらが1品無料になることで、うどんのサイズを「中」にアップグレードしたり、追加の小鉢を頼む傾向が顕著化。
近年ではペーパーレス化と外食DXの進展に伴い、物理カードから公式スマートフォンアプリでのデジタルクーポン連携や、相互スタンプラリー企画へと形を変えて継続されています。