セパレーターに関するトラブルは打設中だけでなく、脱型後の仕上げ工程や引き渡し数年後にも表面化します。その代表例が「錆汁(さびじる)の流出」と「外壁からの漏水」です。
脱型後、Pコンを取り外した後のコーン穴内部にはセパレーターの破断面やおねじ先端が露出します。この部分を無処理のままモルタルで埋め戻すと、雨水の浸入によって内部の鋼棒が腐食膨張し、モルタルを押し出す「爆裂現象」や、外壁を汚染する赤錆の流出を引き起こします。現在では、コーン穴内のセパ先端にエポキシ樹脂系防錆塗料の塗布や、防錆キャップの装着を義務付ける仕様が一般化しています。
また、地下ピットや擁壁、水槽壁などの水密構造物において、通常の丸セパを使用することは厳禁です。鋼棒と硬化コンクリートの微小な界面隙間(ブリーディング水路)を伝って水が通り抜けてしまうためです。中央に止水リングや止水板が一体成形された「止水セパレーター」を配置し、打設時には止水板周辺にジャンカ(充填不良)が生じないよう、入念な締固めを行う施工管理が不可欠です。
【プロの結論】構造・環境に応じたセパレーター選定の明確な判断基準
型枠セパレーターの仕様選定に迷った際は、以下の客観的基準に基づいて判断することを推奨します。
- 【丸セパ(W5/16・Bセパ)を採用すべきケース】:
- 外壁がコンクリート打放し仕上げ、またはタイル張り仕上げのRC建築全般。
- 階高が高く(3.0m以上)、コンクリート側圧が $40 \text{ kN/m}^2$ を超える壁・柱・梁。
- 厳密なかぶり厚さ管理(建築基準法・JASS 5基準)が求められる公共工事・大規模開発。
- 【フラットセパの採用が適しているケース】:
- 戸建住宅の布基礎・ベタ基礎立ち上がり、小規模な宅地造成擁壁。
- パネル穴あけ加工の手間を省き、工期短縮と型枠転用回数の向上を最優先とする現場。
- ※打ち上がり高さが低く(1.5m未満)、低圧打設が維持できる構造物に限定。
- 【止水セパレーターまたは高耐力(W3/8・W1/2)セパを必須とすべきケース】:
- 地下外壁、汚水・雨水ピット、地下駐車場など常時地下水圧を受ける躯体。
- 土木ボックスカルバート、橋台、擁壁の高流動・自己充填コンクリート打設箇所。
- 打設速度が 15 m/h を超える急速打設現場。