コンクール終了後に開示される西関東吹奏楽審査員講評と得点表を詳細に読み解くと、代表校と惜敗校の間に存在した「わずか数点、評価順位にして1〜2位の差」の正体が見えてきます。多くの関係者が口を揃える西関東吹奏楽コンクール選考の真相は、自由曲の派手さではなく、徹底された「課題曲の処理」にありました。
審査員が着目するのは、フォルテシモでの金管楽器の音割れがないか、ピアニシモにおける木管楽器のピッチが保たれているかという基礎音響設計です。特に、残響の多いコンサートホールにおいて、低音群(チューバ、コントラバス、バスクラリネット)が刻むテンポの芯がブレないバンドは、審査員7名によるブラインド評価(A・B・C評価の合計順位点方式)で安定して上位票を獲得します。
一方で、自由曲で高度な現代難曲を選んだ団体が、中間部の静寂パートでわずかなピッチの揺らぎやアンサンブルのズレを露呈し、順位点を落とすケースが散見されました。審査員講評には「優れた技術と情熱的な表現力を持つが、強奏部でのトーンクオリティの維持に課題が残る」といった厳しい指摘が並び、これが当落線上の命運を分ける決定打となったのです。