歴史の教科書が語らない最大のタブー、それは「どれほど膨大な国宝級文化財が永遠に失われ、あるいは海外へ流出したか」という点だ。2026年現在、各地の未公開文書のデジタル解析や寺院台帳の再調査が進み、当時の被害実態がより鮮明に解明されつつある。
新政府の混乱と価値観の激変により、多くの仏像や名画は「無用の長物」「迷信の残滓」と見なされた。薪として風呂屋の燃料にされた木仏、川底に沈められた石仏は数知れない。一方で、二足三文で売り払われた至宝に目をつけたのが、フェノロサやビゲローといった来日外国人や美術商たちだった。国内で打ち捨てられた密教美術や絵巻物は海を渡り、ボストン美術館をはじめとする欧米のコレクションへ大量に収蔵された。国内での徹底的な破壊と国外流出。明治初年の数年間で、日本文化の分厚い断層が乱暴に削ぎ落とされたのだ。