人類が根絶した最悪の感染症・天然痘の真実と再来するバイオ脅威

人類が根絶した最悪の感染症・天然痘の真実と再来するバイオ脅威

人類が根絶した最悪の感染症・天然痘の真実と再来するバイオ脅威にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

ジェンナーの発見から約170年後、人類は地球規模での全面戦争を決断する。1966年、世界保健機関(WHO)が主導する「世界天然痘根絶計画」が本格始動した。全人口へのワクチン接種を目指す総花的なアプローチから、患者を発見しその周囲の接触者だけに集中的にワクチンを打つ「封じ込め接種(リング・バクシネーション)」へと戦術を転換したことが劇的な転換点となった。

特筆すべき歴史的瞬間は、1977年10月にソマリアで訪れた。病院の調理師であったアリ・マオ・マーリンが自然感染による最後の患者として特定されたのだ。公衆衛生チームは彼を中心とする接触者数万人を追跡・隔離し、感染の連鎖を完全に断ち切った。アリ・マオ・マーリンは回復後、自らの経験を胸にポリオ根絶活動に命を捧げた。そして1980年5月、WHOは地球上からの天然痘完全根絶を正式に宣言した。人類が感染症に対して完全な勝利を収めた唯一無二の瞬間だった。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。