2020年代以降、映像コンテンツのグローバル化はジェンダー表現のあり方を世界規模で再定義した。大手配信プラットフォームであるNetflixやHBOが主導する作品群は、当事者を単なる「珍しい存在」や「バラエティの賑やかし」としてではなく、豊かな人間ドラマを描く主人公として正面から捉え直している。
特に、80年代ニューヨークのボールルーム・カルチャーを舞台にしたエミー賞受賞作『POSE/ポーズ』は、世界のエンタメ界に地殻変動をもたらした。トランスジェンダーのキャストを多数起用し、HIV流行期の苦難や家族の絆を鮮烈に描いたこの重厚なヒューマンドラマは、日本を含む世界中の視聴者に深い感銘を与えた。
また、ドラァグクイーンたちの熾烈な戦いと素顔を描く『ル・ポールのドラァグレース』や、各地のリアルな当事者たちの生き様に迫る数々のドキュメンタリー作品も爆発的な人気を集めている。これらのグローバル作品の隆盛により、日本の視聴者の間でも、エンターテインメントにおける多様性と当事者性の描き方に対する目がより肥えるようになった。