惨劇を目の当たりにした際、直感的にやってしまいがちな行動の多くが、実は事態を何倍にも悪化させます。まずは冷静になり、以下の3つの行動を即座にストップしてください。
もっとも警戒すべきは、ネット掲示板やSNSで定期的にバズる「洗濯機に塩(食塩)を入れて洗う」という対処法です。塩を投入すると浸透圧の作用によって高分子吸収体(SAP:高吸水性樹脂)から水分が急速に抜け、見かけ上はゼリーが縮んで消えたように錯覚します。しかし、高分子そのものが化学的に分解・融解して消失するわけではありません。小さく収縮した固形物が洗濯槽の微小な隙間や排水経路に侵入し、後から流れてくる水を含んで再び膨らみ、見えない配管内部で強固な詰まりを形成します。
さらに深刻なのが、洗濯機本体への物理的ダメージです。洗濯槽を支えるステンレスや鋼板、ドラム式の軸受け、内部のモーター周辺部材にとって、塩化ナトリウム(塩分)は強力な腐食因子です。金属パーツのサビを急速に促進させ、水漏れやベアリング破損、電子基板のショートを招きます。国内大手家電メーカーの公式修理マニュアルにおいても、塩の投入は「保証対象外となる過失事故」として明確に位置づけられています。
次に避けるべきは、「そのまま排水・脱水運転を強行する」ことです。洗濯槽の底に溜まった大量のポリマーと綿状パルプが排水弁に一気に押し寄せると、排水バルブが挟み込まれて閉じなくなったり、糸くずフィルターや排水ホースのエルボ(曲がり角)を完全に塞いだりします。
そして3つ目が、「乾燥機(洗濯乾燥機の乾燥機能)にかける」ことです。衣類に付着したポリマーは耐熱温度が低く、高温風にさらされると繊維に焼き付き、二度と除去できなくなります。さらに最悪の場合、ヒーターユニットにポリマーが吸い込まれて焦げ付き、発熱異常や火災警報が作動する危険性すら伴います。