鼻の周辺に現れる病変は、発生した正確な位置によって疑われる疾患が明確に分かれます。皮膚表面と粘膜組織では構造が異なり、侵入する病原菌や炎症の広がり方に決定的な差異が存在するためです。
小鼻や鼻の頭の赤いできものは、毛穴に一致して生じる炎症が大半を占めます。皮脂分泌が旺盛な鼻周囲(Tゾーン)ではアクネ菌が増殖しやすく、通常の赤ニキビが生じやすい環境にあります。一方、毛穴の奥深くにある毛包に黄色ブドウ球菌が感染すると、毛嚢炎(毛包炎)やさらに深部に膿が溜まる癤(せつ)へと進行し、拍動性の痛みを伴うようになります。
一方、鼻の穴のできもので白い頭が見える場合や、鼻腔内のしこりが痛いケースでは、鼻毛の毛根周囲で細菌感染が起きる「鼻前庭炎(びぜんていえん)」や「鼻癤(びせつ)」が強く疑われます。鼻粘膜は薄く、知覚神経が過敏に分布しているため、ミリ単位の小さな腫れであっても顔の半分に響くような激しい自覚痛を生じさせます。
注意すべきは、鼻の奥のできもので痛くないケースです。痛みを伴わない軟らかい隆起は鼻茸(鼻ポリープ)の可能性が高く、硬い腫瘤が徐々に増大する場合は内反性乳頭腫や副鼻腔がんなどの腫瘍性病変を慎重に除外しなければなりません。