ネット検索やSNSの議論で最も頻繁に発生している混乱が、「単一の星(恒星)」と「星の集団(銀河)」の混同です。地球から最も遠い天体を探る際、まずはこの2つのカテゴリーを厳格に切り分ける必要があります。
単独で光る恒星として、観測史上最遠の座に君臨しているのがエアレンデル(Earendel)です。古英語で「明けの明星」や「昇る光」を意味するこの星は、正式名称をWHL0137-LSと呼びます。地球から放たれた視線上で偶然起きた時空の歪み、すなわち「重力レンズ効果」の恩恵によって、単一の恒星でありながら奇跡的にその光が検出されました。
一方で、「星々が集まった銀河」に視野を広げると、記録はさらに過去・遠方へと遡ります。現在、分光観測によって客観的かつ確定的に認定されている最遠の銀河はJADES-GS-z14-0です。ビッグバンからわずか約2億9000万年という宇宙最初期に存在したこの天体は、赤方偏移の値が$z = 14.32$を記録しており、人類が目撃したあらゆる天体の中で最も遠い構造体として宇宙史に名を刻んでいます。