二人の関係性を語る上で避けて通れないのが、はるかみちる原作とアニメの違い経緯、とりわけ天王はるか性別と変身の真相です。メディアによって設定が大きく異なっており、このギャップが現在もファンの間で議論を呼ぶ要因となっています。
武内直子氏による原作漫画では、天王はるかは「男でもあり女でもある、両方の性と両方の強さを持つ戦士」として描かれています。変身前の日常でも、ある時は男性用タキシードを纏い、ある時はフェミニンなドレスを着こなすなど、身体的・精神的なジェンダーバイナリー(性別二元論)を超越した存在です。主人公の月野うさぎが「男の人なの?女の人なの?」と戸惑った際、海王みちるが返した「男とか女とか、そんなに大切なこと?」という返答は、作品全体のテーマを象徴する屈指の名台詞となっています。
一方、幾原邦彦監督をはじめとする精鋭スタッフが手がけた1990年代の初代テレビアニメ『美少女戦士セーラームーンS』では、東映動画のコンプライアンスや少女向けアニメのフォーマットに合わせ、「生物学的には女性であり、普段は男装をしている麗人」という設定に再構築されました。宝塚歌劇団の男役トップスターを想起させる華やかなダンディズムを纏わせることで、当時の女児のみならず大人の女性視聴者をも熱狂の渦へと巻き込みました。