本作の原作は、直木賞作家・白石一文氏の同名小説です。日本を代表する脚本家であり、監督としても高い評価を受ける荒井晴彦氏がメガホンを取り、原作の持つスリリングな心理描写を極上の映像ドラマへと昇華させました。
荒井監督は登場人物をほぼ賢治と直子の2人のみに絞り込み、舞台となる秋田の民家という閉鎖空間で物語を進行させます。食事を貪り、酒を飲み、身体を交わすという人間の最も原始的な営みを執拗なまでに反復することで、日常のすぐ隣にある「死の気配」と「生の歓喜」を際立たせました。脚本家出身ならではの無駄のない台詞回しと、計算し尽くされた間(ま)の使い方が、観る者の感情を強く揺さぶります。