日本プロ野球(NPB)における最短試合時間記録が樹立されたのは、終戦直後となる1946年7月26日、阪急西宮球場で行われたパシフィック対阪神戦です。スコアは1対0でパシフィックが勝利。試合開始からゲームセットまでに要した時間は、なんと55分でした。
なぜここまでの高速決着が可能だったのか。その真相には、終戦直後ならではの過酷な野球環境と当時のプレースタイルが深く関係しています。当時、球界は深刻な物資不足に見舞われており、試合で使用できる公認球はごくわずかでした。ボールがファウルゾーンに飛び込んで紛失や破損することを避けるため、打者は無理に引っ張らずにフェアグラウンドへ打ち返し、カウントを稼がずに初球から積極的にスイングする不文律のような空気が球場全体に流れていたのです。
さらに当時の球場には夜間照明設備がなく、日没までに試合を終わらせなければ引き分け再試合になってしまうという物理的制約もありました。選手たちは攻守交代時に全力疾走し、投手もサイン交換をほとんど行わずに捕手から返球されたら即座に次の球を投げ込むという、流れるような超ハイスピードでゲームが進行しました。