うつ病が中等度以上に進行すると、感情の表出が極度に乏しくなり、まるで能面や仮面を被ったかのように喜怒哀楽が消え去る「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」と呼ばれる状態に陥ることがあります。これはパーキンソン病などの神経変性疾患だけでなく、重度の抑うつ状態における精神運動制止(動作や思考が著しく鈍くなる状態)の主症状としても現れます。
一方、発症初期に見られる自律神経失調症に伴う顔のやつれとの見分け方も極めて重要です。自律神経の交感神経過緊張が続くと、末梢血管の収縮により顔面の血流が低下し、肌のくすみ、目の下の濃いクマ、皮膚の乾燥が目立つようになります。単なる身体的疲労によるやつれと精神疾患による変化を見分けるポイントは、「感情反応の有無」と「睡眠・食事との連動性」にあります。
単なる過労であれば、週末の十分な睡眠や休息によって顔色が戻り、会話の中で自然な笑顔が戻ります。しかし、うつ病の初期症状では、数日休養を取っても顔の強ばりが抜けず、問いかけに対する反応の遅れ(応答潜時の延長)や、声のトーンの単調化(プロソディの喪失)が同時に進行します。