インターネット上の議論では、「逆格差婚=必ず不幸な末路をたどる」という極論が目立ちます。しかし、取材現場から見える現実はそれほど短絡的ではありません。多くの人が見落としている本質的な盲点があります。
第一の誤解は、「夫の収入が低いこと」そのものが離婚の直接原因だという思い込みです。実際には、経済格差そのものが婚姻関係を壊すのではなく、「格差によって生じる力関係のアンバランスを、双方がどう処理しているか」が問われています。高学歴・高収入の妻が求めるのは、夫の年収の急上昇ではなく、「自分のキャリアへの正当な理解」と「家庭人としての自立・協調姿勢」であることがほとんどです。
第二の盲点は、「無自覚なモラルハラスメントの加害者が妻側にもなり得る」という点です。悪気なく放った「どうせあなたには無理」「私の給料で買ったものだから」といった一言が、夫の自尊心を致命的に抉ることがあります。経済的強者が家庭内の独裁者になってしまう構図は、男女が逆転しても全く同じ毒性を持ちます。
つまり、問題は「誰がいくら稼いでいるか」ではなく、「稼ぎの違いを理由に相手を支配しようとしていないか」「引け目を感じて心を閉ざしていないか」という心理的アプローチの巧拙にかかっているのです。