過去の大規模台風災害を検証した社会心理学や災害社会学の研究において、繰り返し指摘されるのが「正常性バイアス(Normalcy Bias)」による避難の遅れです。「まだ外は静かだから大丈夫」「前回の台風も大した被害はなかった」という根拠のない過信が、夜間の急激な増水時に逃げ遅れる最大の原因となります。
ネット上では「台風の勢力が弱まったから安心」という誤った言説が見受けられますが、これは極めて危険な認識です。台風が「大型」から「並の大きさ」になったり、中心気圧の数値が上がったとしても、地面に染み込んだ総雨量や河川の上流域で降った雨の排水タイムラグによって、台風通過後に大規模な水害や土砂崩れが発生するケースは過去に数多く報告されています。
【プロの防災判断基準】避難行動を起こすべき人・自宅待機すべき人の条件
災害時に命を守るためには、ハザードマップに基づいた冷静な状況判断が求められます。
■ 直ちに指定避難所や親戚宅へ立ち退き避難をすべき人:
・洪水ハザードマップで「家屋倒壊等氾濫想定区域」や「浸水想定深2m以上」のエリアに居住している世帯
・土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)に指定されている急傾斜地・山沿いの木造住宅
・平屋建て住宅で2階への垂直避難が不可能な世帯
■ 頑丈な建物の2階以上で「在宅避難(垂直避難)」を維持すべき人:
・RC構造(鉄筋コンクリート造)のマンションの3階以上に居住しており、浸水リスクが低い世帯
・外の冠水が始まっており、屋外への移動自体が命の危険を伴う段階に至った場合(水深50cm以上の歩行は極めて危険)