着信側にお金がかからないのであれば、犯罪グループはなぜ莫大な手間とコストをかけて見知らぬ日本国内の番号へ発信し続けるのでしょうか。取材班が追跡したところ、2026年現在横行している手口の構造には、明確な3つの経済的・犯罪的動機が存在することが分かりました。
1つ目は、古典的ながら未だに莫大な被害を出している「国際ワン切り詐欺」です。1回〜数回だけコールを鳴らして意図的に切断し、不在着信を残します。着信履歴を見た被害者が「大切な連絡かもしれない」と折り返してしまうと、途上国や特殊な通信事業者が提供する「国際プレミアムレートサービス(高額な付加料金が設定された通話サービス)」へ接続されます。被害者が保留音や機械音を聞かされている間に数千円単位の通話料が課金され、その一部がキックバックとして犯罪組織に環流する構図です。
2つ目は、SNSや知恵袋でも被害報告が激増している「中国語自動音声詐欺」です。電話に出ると「こちらは中国大使館です。あなた宛ての緊急書類が届いています」「入国管理局から重要なお知らせがあります」といった機械音声が中国語や不自然な日本語で流れます。ガイダンスに従ってボタンを押すと、捜査員や職員を名乗る人物につながり、「あなたの名義が国際犯罪に使われている。無実を証明するために指定口座へ保証金を振り込め」と脅し取られます。在日外国人だけでなく、語学に馴染みのない日本人に対しても機械的に一斉発信されているのが近年の特徴です。
3つ目は、「+1」や「+44」などの国番号を隠れ蓑にした国際電話スプーフィング(番号偽装)です。警察庁や大手宅配業者、金融機関を装い、SMS(ショートメッセージ)と組み合わせて偽サイトへ誘導するフィッシングの手口が組み合わされています。