この特異な食文化のルーツを紐解くには、日本橋三越 大食堂 歴史への理解が欠かせません。日本橋三越における食堂の歴史は、1907年(明治40年)に開設された喫茶室に端を発し、1927年(昭和2年)には「日本初のお子様ランチ」誕生の舞台ともなったメガ・ダイニング「大食堂」へと結実しました。
当時、百貨店の大食堂へ行くことは大衆にとって最大のハレの日のレジャーであり、誰もが憧れる文化的イベントでした。高度経済成長を経て消費が多様化・高級化する中、1964年の東京五輪前後に、より本物志向の顧客を迎える迎賓空間として誕生したのが現在の「特別食堂」の原型です。
「大食堂の誰もが好きなものを選べるワクワク感」という原体験を、超一流の調理技術とおもてなしによって極限まで昇華させたのが特別食堂の骨子です。昭和・平成・令和と時代が移り変わる中でも、壁面のレリーフや落ち着いた調度品、銀食器の輝きに至るまで、当時の華やぎと良き日本の社交界の気品が色濃く保存されています。