近年の彼女の演技でひときわ強烈な印象を残したのが、劇団ひとり監督による映画『浅草キッド』だ。昭和の浅草を舞台にした本作で、伝説の芸人・深見千三郎の妻であり劇場の看板・マサを演じた。
劇中、夫を支えながらも芸人の街でしなやかに生きる女の艶やかさ、酒と煙草の香りが漂うような熟れた色気は、多くの映画ファンを唸らせた。直接的な濡れ場を売りにした作品ではない。だが、楽屋裏の濃密な空気感や男女の機微を演じる彼女の佇まいには、現場スタッフをも息を呑ませたという。撮影現場では細部の所作に至るまで監督と綿密に対話を重ね、昭和の粋な大人の色香を現代に蘇らせた。